29漁具求めている資材はお客さんによってさまざま。テグスひとつとっても、素材や太さ、色などによって製品が変わってきます。それを的確に把握し、すぐに届けることが私たちに求められること。アサヤではこれまでにもお客さんの要望に合わせて種々さまざまな漁具を取り扱ってきました。今では、取り扱う漁具の数も3万点を超えています。そのほんの一部をお見せしましょう。幹縄<組テグス>ナイロンテグスを編あんで、ロープ状にしたもの。弾力性が生まれ、衝撃に強い。はえ縄漁で使う幹縄は100km、150kmもの長さになります。そのため、ロープをつないでいく必要があります。ロープは連結金具を使ってつなぐこともありますが、圧力がかかって繊維が痛むため、強度が下がってしまいます。そのため、一方のロープの先端をばらしてもう一方のロープに編み込み、強度を下げずにつなげる「ロープ刺し」と呼ばれる方法をとります。ただ、一回一回ロープを刺していたのでは時間がかかってしまいます。そこで組テグスの出番。スパイキという道具を使って、一方の組テグスのすき間を広げ、もう一方の組テグスを中に差し込んでいくだけでロープが連結でき、能率的に作業が行なえるようになりました。枝縄<ナイロンテグス>枝縄の先はナイロンテグスが使われます。ナイロンテグスは一見伸縮性がないように見えますが、力をかけると40%ぐらい伸びます。そして、離すとまた元に戻る。2、300キロもある大きなマグロに引っ張られても、伸びて、またビヨーンと戻ってくれます。伸縮性がないとすぐにマグロの口回りの肉がちぎれてしまいますが、これなら肉がちぎれないため、逃げられるリスクを抑えられるのです。枝縄<ブランチハンガー>枝縄を幹縄に吊るすのに使う道具。手で持って、力をいれて開いて、先端あたりにロープを通します。慣れてくれば、幹縄に引っかけるようにして簡単にかけられるようになります。枝縄<錘>ロープが海の中にまっすぐ沈んでしまうと、だらーんとして死んだ魚みたいになって見えてしまいます。だから、緩やかな弧を描いてL字型にするために、合成繊維やコーティングワイヤー、ナイロンテグスといった重さの異なる素材を組み合わせてつくります。そうすると枝縄のロープが他の魚と同じようにちゃんと泳いでいるように見えるので、マグロが釣れやすくなるのです。枝縄<より戻し>枝縄のロープとロープの途中にある小型の連結金具。「猿環」や「スイベル」とも呼ばれています。接続部分が回転し、ライン・仕かけがヨレないようにする仕組みに。ロープの撚り方向と逆向きにねじれると、ほどけて強度が弱くなってしまいます。これを「キンク」といいます。この金具部分が回って元の状態に戻ることで、ロープがほどけるのを防ぎ、強度が保たれるのです。その数、実に 以上。お客さんの要望に合わせてきたら、こうなりました。3万点【はえ縄】江戸時代から始まった日本の伝統漁法、マグロはえ縄漁業。およそ150㎞にも及ぶ1本の幹縄に多数の枝縄を付け、その先端に釣り針をつけたものをはえ縄という。はえ縄を漁場に仕掛けた後、しばらく放置して再び回収してマグロなどを獲る。
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