UIJターンのススメ(おすそわけ文化)


こんにちは。2016年8~9月にアサヤでインターンをしていた櫻本です。

僕が気仙沼で一番好きなところ、それは「人」です。
気仙沼には「やったりとったり」という、物のやり取りを意味する方言があるのですが、
そんな言葉に表れている、気仙沼の方々の人間性が好きなのです。

ある朝、社員さんに会社まで車に乗せて送ってもらっていたところ、
駐車場から会社までの道中で、近所の工場のお爺さんに声をかけられました。

お爺さん「おはよう!アサヤさん!」
社員さん「あー!おはようございます、社長さん」
櫻本  「しゃ、社長さん!?」
社員さん「おぉー、この方はピーナッツ煎餅を作ってる小山大の社長さんだっちゃー」
櫻本  「え!?!?」

小山大のピーナッツ煎餅、僕が気仙沼に来てから大ファンになったお菓子です。
初めて一箱買った時は、その日のうちにまるまる一箱、全部完食してしまいました(笑)

そんな社長さんが手招きするので、素直についていくと、
「これ持ってけ~」と、ピーナッツ煎餅を両手がふさがるほど渡されます。

アサヤ 「いやぁー、いいですって!いつも申し訳ないですよ~」
社長さん「いやいや、アサヤさんはいつもたくさん買ってくれるから~」
アサヤ 「ごめんなさい、ありがとうございます~」
社長さん「アサヤさんはねー、昔この街の市長さんも輩出してたりして、ここら辺の人はみーんな尊敬してんだよ~」

立ち話を終えると、「こんなにもらったら、お返ししないといげねぇな~」と言いながら、
社員さんと一緒に会社へと歩き始めました。これが「やったりとったり」です。

単純に物のやり取りに限らず、何かをしてもらったら相手にちゃんとお返しをする。
逆に、自分が相手に何かをしてあげたら、その分がちゃんと返ってくる。
こうして、思いやりが回り回って自分に返ってくる雰囲気が、僕にはすごく印象的でした。

僕も気仙沼にいる間、よく何かをいただく機会が多かったです。
例えば、これはホヤとわかめの煮物です。

すごい時には、メカジキを2キロも頂くこともありました(笑)

こういったやり取りに、遠慮、申し訳なさ、面倒くささを感じる人も多いと思います。
僕も初めは、嬉しさよりも申し訳なさの方を強く感じていました。

ただ、相手はご好意で僕にものをくださっていて、それを断るのも逆に失礼な話。
いただくのに申し訳なさを感じるのなら、その分、こっちもお返しをすればいい。
それこそ「やったりとったり」なんです。

物は試しということで、インターン期間中にお世話になった方々に、
日頃たくさんのものをいただいたお返しに、僕の大学の大分県の土産を渡してみました。
やってみると、相手の反応も嬉しいですが、お返しをすることへの安心感を強く感じました。

この1ヶ月間、とても素敵な風習のある場所で過ごすことができました。
もしかしたら、1ヶ月で見えたのはまだ綺麗な部分だけで、
ここならではの人付き合いの難しさは感じていないのかもしれません。

それでも、僕にとっては思いやりに溢れた街はとても居心地がよく、
インターン期間中にたくさんの学びや思いやりをいただいた分、
いつか恩返しに自分の力を発揮しに来たい、とそう思えるようになりました。

他のUIJターンのススメを読む


仕事のゆとり

人のつながり

機械の職人技

染網の職人技

気仙沼の食

観光まちづくり

被災地の認識